2012年3月30日金曜日

手術件数が多い病院はレベルが高いのか?


『曲がる腰にもワケがある』  井尻慎一郎 の続きです。



手術の件数や、病院ランキングなど、新聞や雑誌でよく見かけます。
でも、現場の先生からは、否定的な意見が多いような気がします。


「大学病院や市中の大病院などは、同じ病気でもかなり難易度の高い患者さんが紹介される傾向にあるために、手術件数は必ずしも多くなく、成績も満足できる結果ばかりになりにくいのです。」

 「仮に症例数だけでランキングをつけるならば「症例の難易度は考慮されていません」という大きな但し書きをつけてほしいと思う医師は、おそらく私だけではないと思います。」 
(P49)
~たしかに、同じ病気でも進行によって、手術の難易度は違うはずです。
それを一律にランキングするのは、考えてみれば乱暴ですよね。
まぁ、日本人のランキング好きには困ったものです。



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2012年3月28日水曜日

布団やマットは堅いほうがよい?


『曲がる腰にもワケがある』  井尻慎一郎 の続きです。 



「結論としては、腰痛一般にどのような寝具がよいかは一概にいえないということがわかりました。」(P40)
~常識的に考えれば、“これで「肩こり」や「腰痛」が治る!”というような寝具(布団や枕)などはないのでしょうね。(※ もしそれがそうであるならば、もうそれはそうではない )


「寝返りがしやすい寝具が一番よいだろう」(P40)
~人間は、睡眠中にからだの疲れをとります。
じっとして疲れをとるのではなく、からだを動かしながら、つまり、寝返りをうちながら、からだの疲れをとります。

というわけで、からだによいのは「寝返りをうつこと」
したがって、からだによい寝具とは、「寝返りがしやすい寝具」ということになります。

寝具選びに熱心になるのもよいですが、ふだんから意識的に、寝返りをうつ癖をつけることが大切ですね。



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2012年3月27日火曜日

マイコプラズマ肺炎


「かつては数年おきに流行していたマイコプラズマ肺炎の患者数が、2011年夏以降、過去最多のペースで推移している。」

「日本小児呼吸器疾患学会と日本小児感染症学会が11年に作成した診療指針によると、治療はまずマクロライド系という種類の抗菌薬を用いる。

 だが近年、薬の効かない耐性菌が徐々に増加。
北里生命科学研究所特任教授の生方公子(うぶかたきみこ)さんらの調査では、11年に検出した肺炎マイコプラズマ菌のうち耐性菌が86%に上った。

 耐性菌にはミノサイクリンという抗菌薬を使う。
ただし、永久歯に生え替わっていない子どもは歯が黄色くなる副作用のおそれがあるため、使用は最小限にするとされている。」

 「田島さんは「耐性菌が増えており、抗菌薬の使い方を見直す必要がある」としている。」


[感染症]肺炎(1)マイコプラズマ 耐性菌増加 (2012年3月26日 読売新聞)より 抜粋




マイコプラズマ肺炎は、かつては、3~4年に1度、大流行することから、「オリンピック熱」とも呼ばれていました。
わたしも3~4年に1度、ひどい風邪を引いているのですが、もしかしたら、マイコプラズマ肺炎なのかな?とも考えられます。


症状は、おおむね風邪と同じです。
主な特長は、いわゆる「カラ咳」で、これでかなり体力が奪われます。

原因が、真正細菌なので、通常の風邪薬では治りません。
(自然治癒は、だいたい2週間といったところでしょうか)

このマイコプラズマ(細菌)が、より頻発し、しかも耐性をつけてきているというのは、いささか困ったニュースです。

ちなみに、マイコプラズマ肺炎にかかりやすい年齢は、40歳くらいまで、といわれているので、わたしはそろそろ卒業です。

「風邪やインフルエンザとは、少し違う…」といった場合は、「マイコプラズマ肺炎」という可能性を疑ってみてください。

笑いは副作用のないクスリ


『曲がる腰にもワケがある』  井尻慎一郎 の続きです。 



「楽しく笑うことによって、血液中のナチュラルキラー細胞という、免疫をつかさどるリンパ球の能力が高まるそうです。」(P36)
~楽しく笑うだけでなく、心から泣いたりすることも効果があるそうです。

うちの店にも、ガン治療をされているお客さまが、ときどきいらっしゃいます。
もちろん、「うちの整体はガンが治りますよ~」なんてことは、言ってませんよえへへ…

とにかく、ガン治療というのは、傍から見ててもつらいですね。
過酷な治療です。
もちろん、お客さまもうちの施術で治ることを期待しているわけではありません。
とにかく痛くて、つらいので、一瞬でも楽になりたい、というお気持ちの方がほとんどです。

笑いの効果は、ナチュラルキラー細胞云々ということも、もちろんあるでしょう。

しかし、それ以前に、「痛くない」という状態をつくりだしていることが、有効なのかと思います。

笑っている間は、痛みを感じない、というよりも痛みを忘れられるのです。
脳内が笑いの状態なので、痛みを感じるすきがないのです。
(気持ちいい)マッサージも同様です。

「整体やマッサージでガンが治る」ということは、まず、ないでしょう。
※ガンもケースによりますが、自然治癒します。ですから、自然治癒にのっかって、さも施術効果があったように錯覚される事例はありえます。

ガンを治すことは不可能ですが、ガン治療のサポートとして、気持ちいい整体やマッサージは、「笑い」同様、有効だと考えております。



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2012年3月26日月曜日

こむら返りはどうして起こるか?


『曲がる腰にもワケがある』  井尻慎一郎 の続きです。


こむら返り…ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)がつる、けいれんを起こしている状態。
ふくらはぎの部分を腓(こむら)といっていたので、こむら返りという。
※地方によっては、「こむら」を「こぶら」と呼ぶところもあるので、「こぶら返り」ともいう。


こむら返りの原因は、よくわかっていません。
要因として考えられるのは、以下の通りです。

・激しい運動後の極度の筋肉疲労
・冷えて血行が悪くなる(水泳中)
・脱水などで、電解質のバランスが崩れる


こむら返りが、よく起こる人。
・妊婦さん…下半身の血行障害や体重増加による筋肉の疲労
・高齢者
・病気や薬剤…糖尿病、肝硬変、腎不全、透析、甲状腺機能低下症、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経症。利尿剤


こむら返りの応急処置

1 つっている筋肉をゆっくりと伸ばす。
※伸ばす時にかなりの痛みを感じるが、ゆっくりとけいれんしている筋肉を伸ばすのが肝要。

2 患部を温めたり、湿布をはる。


こむら返りの予防法
・普段から、お風呂上がりなどに、体操やストレッチで、ふくらはぎをほぐしておく。
※強くもむのは厳禁。
・漢方薬…芍薬甘草湯



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2012年3月25日日曜日

第1世代はもう古い 最新の〇〇情報


『曲がる腰にもワケがある』  井尻慎一郎 の続きです。


第1世代、第2世代といえば、携帯電話やスマートフォンが、すぐに思いつくところですが、われわれの業界にもどうやらあるようです。

それは、 

湿布 …


ちょっと拍子抜けですが、湿布もなかなか奥が深いですよ。


第1世代の湿布
冷湿布(冷感湿布ー主に急性に使う)…消炎鎮痛剤をほぼ含まない 
温湿布(温感湿布ー主に慢性に使う)…消炎鎮痛剤をほぼ含まない

薬局などで売られている湿布。
病院や医院ではほとんど処方されない。
痛みや腫れを取る薬効は弱い。
人によっては、かぶれをおこしやすい。

主成分 冷湿布→メントール、サリチル酸
      温湿布→トウガラシエキス、カプサイシン


第2世代の湿布
消炎鎮痛湿布~少し清涼感があり、急性と慢性の両方に使える。(経皮吸収消炎鎮痛剤)
温感タイプ消炎鎮痛湿布(慢性のみに使う)もある。

清涼感を与えるために、メントールなどが含まれている。(※ヒヤッとするが、それが冷やしているわけではない)
「痛み止め」「腫れ止め」として薬効は強力。 

主成分 インドメタシン、ジクロフェナック、フェルビナク、ロキソプロフェン、ケトロプロフェンなどの非ステロイド系消炎鎮痛剤


第2世代の湿布は、急性・慢性のどちらにも有効です。
これならば、冷湿布?温湿布?と悩まなくてすみます。

また、薬効としても効果が高いので、「痛み」や「腫れ」をどうにかしたい場合は、薬店で湿布を買うよりも、整形外科でより強力な湿布を処方してもらう方がよいということですね。


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『曲がる腰にもワケがある』  井尻慎一郎



曲がる腰にもワケがある―整形外科医が教える、首・腰・肩のなるほど話
2011年第1刷発行。
井尻整形外科院長、井尻慎一郎氏著。


「腰痛は奥深い病気です。腰痛は、日常生活や日々の仕事などによる疲労や、なにがしかによる病気、ほかにもストレスなどいろいろな要因が複雑にからんでくるために、なかなか一筋縄では治りません。」(P2)
~肉体疲労としての腰痛だけでなく、精神的ストレスからも腰痛が引き起こされるのは、もはや当たり前の前提条件になっているようです。


「クリニックに来られる患者さんの中には、周りの人に「寝たきりになるよ」とか、「治らない」「しょうがない」「どうしようもない」などと、いわば呪いをかけられてて来られる方もおられます。医師は、病気やケガを治すのと同時に、呪いがかかっていればそれを解く、いわば陰陽師であるべきだと思います。肉体的にだけでなく、同時に精神的にも回復するお手伝いをするのが、医師の大切な役目だと信じています。」(P2)
~医学部出の先生が“陰陽師”であるべきならば、むしろ民間の整体師の方が、すすんで“安倍晴明”になるべきではないのでしょうか。


やはり“治る”腰痛治療というのは、次のようになってしまうということなのでしょうか。

「これは、絶対効く」という前もって刷り込まれた バイアス効果
「施術者による丁寧な応対」からくる カウンセリング効果
「施術者の自分の施術に対する信奉、及び被施術者の信奉」による 大いなるプラシーボ効果

整体や腰痛の勉強をするほどに、自分の施術法に自信を失くします…


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2012年3月24日土曜日

『あなたは、なぜ太ってしまうのか?』  バリー・ポプキン



あなたは、なぜ太ってしまうのか? 肥満が世界を滅ぼす!
2009年第1刷発行。
ノースカロナイナ大学チャペルヒル校栄養学教授、同大学肥満学研究センター長、バリー・ポプキン氏著。



世界の人口が、70億人になったのは、昨年2011年10月のことです。
世界中で騒がれたので、まだ記憶に新しい方も多いかと思われます。

その70億人のうち、肥満人口は、ざっと10億人。
一方の飢餓に苦しむ人たちも、ざっと10億人。
地球規模では、「肥満」と「飢餓」が、ちょうどつり合っている計算になります。
哀しい現実ですね。


「甘いものは子どもの機嫌をよくし、弱い麻酔薬の役目を果たすのだ。甘味に対するわれわれの認識は舌から始まるが、甘味に反応する脳の受容体は、コカインやアルコール、タバコに反応する受容体と同じである。」(P48)
~甘いもの(お菓子やジュース)は、美味しいから飲み食いするのではなく、脳が気持ちいいから飲み食いしちゃうってことです。
そう考えると、たばこ税や酒税と同じように、お菓子税やジュース税(ともに砂糖税)なんてのも理屈でいえば、アリですね。


「健康によいかどうかなどは気にかけないライバル企業が、競合相手の善意や行動を出し抜くことが許される資本主義体制のなかで、良心的な企業にできることは、たかが知れている。」(P176)
~当たり前といえば当たり前ですけど、こういう社会に生きている、ということを認識すべきですね。


「率直なところ、男女にかかわらず、飲むのは水だけ、少量の砂糖を加えたものと多くの果物、野菜を食べ、揚げた食べ物は口にしない人が太るのはむずかしい。」(P205)
~なにを食べたらやせるのか?という視点も大切ですが、なにを食べたら太れないのか?という視点も参考になりますね。

2012年3月22日木曜日

『病気にならない15の食習慣』  日野原重明・天野暁(劉影)



病気にならない15の食習慣 (青春新書インテリジェンス)
2011年第1刷発行。
聖路加国際病院理事長、日野原重明氏と医学博士、天野暁氏の共著。




う~ん、著者は日野原先生だけじゃダメだったんですかね?

ざっくりといえば、日野原先生の健康法といったところです。

習慣1 “1日3食”の間違い
習慣2 寝る前に食べても大丈夫
習慣3 脳を鍛える“かむ”習慣
習慣4 “楽しい”食事が健康をつくる
習慣5 “油抜き”ではやせられない
習慣6 間食には果物を食べましょう
習慣7 植物油が若さと美肌のもと
習慣8 食事を残せば病気にならない
習慣9 コレステロール値は少し高めのほうがいい
習慣10 外食がちな人は野菜ジュースを
習慣11 レシチンと葉酸の多い野菜をたっぷりと
習慣12 肉を食べれば体がサビない
習慣13 和食の落とし穴“塩分”に注意
習慣14 ウエストを測るだけで肥満は防げる
習慣15 効率よくカロリーを消費する




「若者なら「もう少し食べたいなぁ」と思うくらい、高齢者なら「空腹感が消えた」と感じるところで止めておく」(P4)
~まさに、「少食知足」、「少なく食べて、足るを知る」ということですね。
あ、これ、わたしの造語です。

「おなかがすくのは仕事に集中していないからです。私は、熱中すると空腹なんて感じません。執筆に夢中で、気づいたら食事をするのを忘れていたなんてことはしょっちゅうですよ」(P14)
~やりたくもないことをしていると、食事くらいしか楽しみがないですもんね。

2012年3月21日水曜日

平均への回帰


1回目の試験結果が偏っていた(特別に良かった、悪かったなど)対象について2回目の試験結果(時間的には逆でもよい)を調べると、その平均値は1回目の測定値よりも1回目全体の平均値に近くなるという統計学的現象をいう。
回帰分析の語源となったが、これとは異なる概念である。

※ウィキペディア 平均への回帰 より転載
※※参照サイト  大槻義彦公式ブログ 【平均への回帰】 



例えば、血液サラサラ水という水があります。
この水の効果を検証するために、無作為に選んだ80人の中から、血糖値の高かった人(平均血糖値170)を20人ピックアップします。
そして、毎日500ミリリットル、血液サラサラ水を飲んでもらい、1週間後に再検査します。
すると、約半数の人の血糖値が150になり、20人の平均値も140(血糖値の平均値)になりました。
これで、血液サラサラ水は血糖値を下げる効果が証明されたわけです。…ということには、ならないということです。

初めに血糖値が特別に高かった人を選ぶと、次の検査では低くなるというのが、統計学的に証明されているのです。
それが、平均への回帰です。
これは同様に、血糖値が特別に低かった人にも当然ながらあてはまります。

※参照 『東大医学生が書いた 医者いらずの教科書』  東京大学予防アカデミー

2012年3月20日火曜日

『9割の腰痛は自分で治せる』  坂戸孝志



9割の腰痛は自分で治せる (中経の文庫)
2011年第1刷発行。
生理学博士、痛みの専門院院長、坂戸孝志氏著。


坂戸孝志氏…生理学博士、腰痛克服アドバイザー、緩消法開発者、東京「痛みの専門院」院長、社団法人日本健康機構理事長、腰痛アカデミー主宰。

生理学博士っていう肩書なんですけど、出身大学名が載ってないんです…
まさか、カイロドクターのように、なんちゃって博士号ということは、ないですよね??


「私は18歳のときから14年間、腰痛と格闘し続けました。「腰痛緩消法」は、腰痛の原因を調べ、筋肉や骨格を理解し、そして自ら克服法を発見して実践した、腰痛を根本的に治すためのただ1つの方法です」(P7)
~典型的な『これで9割治る』本ですね。

わたしはずっと腰痛で苦しんでいた
→どんな治療法も、効果がなかった
→しかし、この治療法に出会い、腰痛が治った
→これで、わたしの腰痛が治ったのだから、あなたの腰痛も治る

といったパターンです。
個人差や生活習慣、腰痛治療と腰痛改善の因果関係などは、もちろん完全にアウトオブ眼中です。
なつかしい響き。


「コルセットでできたすり傷のおかげで、「これで腰の痛みを少しごまかすことができた。ラッキー」と、誰にも理解していただけないような感覚になることも多く、あのときは少し精神的に不安定になっていたのではと、昔のことを思い返すことがあります。」(P23)
~きっと「精神的に不安定になっていたのでは」と、著者が言う通りなのでしょう。
そうであるならば、腰痛の原因がストレス性のものであり、ストレスが軽減・除去されることで、腰痛が改善・完治されたというのは、非常に理にかなっております。(※NHK あさいち ぎっくり腰 2
しかも、この方が提唱する腰痛緩消法は、非常にソフトタッチなストレス解消になりそうな自己施術法です。


「痛みの原因は、「筋肉の緊張」である。
そして腰痛の原因は、「腰の筋肉の緊張」である。」
(P26)
~腰痛は、そんなに単純ではないから、著者も腰痛が治るまで苦労されたのだと思うのですが…

2012年3月16日金曜日

『美味しい食事の罠』  幕内秀夫



美味しい食事の罠―砂糖漬け、油脂まみれにされた日本人 (宝島社新書)
2007年第1刷発行。
管理栄養士、幕内秀夫氏著。
今日の食べ物は、砂糖油脂(あぶら) まみれです。
それはなぜか?
「美味しい」からです。
でも、それは脳が「美味しい」と思っているだけです。
からだに良いかといわれれれば、良いわけはないです。


1950年代  「タンパク質をとりましょう運動」
         「ビタミンをとりましょう運動」
1960年代   「1日1回フライパン運動」(P6、7)

~著者によると、国家的な啓発運動があったそうです。
いわゆるアメリカによる日本の洋食化の一環なんですかね。

   エネルギー(kcal)タンパク質(g)脂質(g)炭水化物(g)
マクドナルド
ハンバーガー
25112.78.530.9
マックフライポテト
(M)
4205.722.149.4
ケンタッキー
フライドチキン
23718.314.77.9
(P34)
~マックのポテトは、カロリー界のホームラン王ですねえへへ…


「油脂や砂糖というのは、脳にとって快楽物質であるため、食べ始めると止まらない、という要素があります。…(中略)…美味しいというよりも、気持ちいい状態といえるでしょう。」(P57)
~「美味しい食事の罠」は、食べ物がおいしいのではなく、脳が気持ちいいいと思える食べ物を食べている(もしくは、食べさせられている)ことにあります。

脂っこく、甘辛くして、うま味を加える、これが産業としての外食の王道です。

2012年3月14日水曜日

ビタミンEの摂りすぎは 骨粗鬆症につながる


NHKニュースウェブ ビタミンE“過剰摂取に注意”
 より


老化防止をうたう栄養補助食品として人気のビタミンEを摂取しすぎると、骨粗しょう症になる危険が高まることが分かり、研究を行った慶応大学などのグループは「摂取量の上限を検討し直す必要がある」と指摘しています。
慶応大学などの研究グループは、ビタミンEに骨を壊す細胞の働きを活発にする性質があることを動物実験で確かめました。
そして、骨への影響を実際に調べるため、健康な大人が栄養補助食品として摂取する場合の最大量に相当するビタミンEを48匹のネズミに8週間、毎日与え続けました。
その結果、通常のエサを与えた場合に比べ、骨の量が平均で20%減少し、すべてのネズミが骨粗しょう症の状態になっていたということです。
研究グループでは、ビタミンEの過剰な摂取は、骨の新陳代謝のバランスを崩し、骨粗しょう症になる危険を高めると結論づけています。
ビタミンEはしみなど防ぐアンチエイジングの栄養補助食品として人気で、アメリカでは人口の10%以上が服用し、日本でも利用者が増えていると見られています。
研究を行った竹田秀特任准教授は「ビタミンEは老化防止にたくさん取った方がいいと考えられていたが、骨粗しょう症による骨折や寝たきりという深刻な問題につながるおそれがあることが分かった。摂取量の上限を検討し直す必要がある」と指摘しています。
以上引用終わり



最近にしては、珍しいネガティブニュースです。

とくにサプリメントからのビタミンEの摂取は、ほどほどにしておいた方が良いということですね。

ちなみにビタミンEが豊富な食材は以下の通りです。
・鰻、ブリ、ハマチ、鮎、ニジマス、ししゃも、ニシン、キンキ、トビウオ、イカ、筋子、タラコ、ツナ等の魚類
・アボカド、カボチャ、赤ピーマン、ホウレンソウ、菜の花、大根の葉、モロヘイヤ
・オリーブ油やひまわり油、綿実油、サフラワー油等の油類やアーモンド、くるみ、ヘーゼルナッツ、松の実など

サプリメントは、補助食品です。
できるかぎり、栄養は食べ物から摂りましょう。

2012年3月12日月曜日

整体とプラシーボ効果



副作用がなかったコカイン プラシーボ効果と副作用 の続きです。


「プラシーボの作用としては、心理的な影響と、その後に放出される痛みを抑制するホルモンの影響がある」(P54)
~プラシーボ効果には、脳に働きかけて、痛みを抑制させる効果もあるようです。

それでは、脳のどこに作用するのかというと、脳の 側坐核 という部位です。

「プラシーボの注射を受けた人の痛みは軽減していたのです。
…(中略)…側坐核の活性が上昇し、さらにドーパミンの受容体の活性も増加していたのです。」(P55)

おっと、側坐核は、以前でてきました。

「脳がストレスにさらされていると、脳の側坐核という部位の働きが悪くなります。
側坐核の働きが悪いと、痛みを抑制するオピオイドという鎮痛物質が出にくくなってしまうようです。」


「側坐核が刺激されると、その情報は前頭前野の外背側部を刺激します。」(P56)
~その結果
・扁桃の活動を抑え、不安、恐怖などの感情を抑える
・中脳水道周囲核を刺激して、βエンドルフィンを出させる
・中脳の腹側被蓋を刺激して、ドーパミン神経を活性化させ、それがさらに側坐核を刺激する

上記の作用で→痛みを感じなくなる、とのことです。


「痛みを感じなくなるというのは、側坐核の働きによるものですが、プラシーボの作用には痛みを抑えるという働きだけでなく、「よいことを期待する」という働きもあります。」(P57)

私たちが「よい情報だぞ」と思う場合

前頭葉の外背側部が受理→眼窩回に期待をもたせるような反応→側坐核が活性化→快感作用→中脳水道周囲核を刺激して、βエンドルフィン放出

という流れができるそうです。

「これにより不安がなくなり、痛みも軽減させ、食べ物などの体や脳に及ぼす効果が変化し、病気が治ったりするのです。」(P58)


上記のプラシーボ効果の理論を、整体にあてはめてみると、

1 「これで治るという施術」が、即座核に働きかけ、痛みを軽減させる

2 「これで治るという施術」の期待効果が、それだけで治す効果になっている

ということになります。


これで9割の方の腰痛が完治しました!

どうぞ、お客さまの感謝のことばを見てください!!

という宣伝は、プラシーボ効果を最大限に発揮させるには、どうやら正しいようですね。
先生ではなく、なにより患者さんにとって、よい効果になるのです。
わたしみたいに、「治るか、治らないかはわかりません…」っていっては、プラシーボ半減もいいところでしょう。

ただし、自分の施術はプラシーボだ!という先生は、まずいっらしゃらないですけど…

副作用がなかったコカイン プラシーボ効果と副作用



☆プラシーボ効果とは、こちらをどうぞ→ プラシーボ(プラセボ)効果

プラシーボ効果とは、一般的には、「効き目のないものも、効き目があると思って服用すると、ほんとうに効き目がある」というものです。
しかし、それは正(プラス)のプラシーボです。
「効き目のあるものも、効き目がないと思って服用すると、ほんとうに効き目がなくなってしまう」というのもプラシーボ効果です。
こちらは、正の反対、負(マイナス)のプラシーボ効果ということになります。

「どのような新薬も最初は非常によく効くが、次第に効かなくなる」(P45)
~これは、高田先生が、学生時代から、言われていたことのようです。

「精神科の薬は、最初は非常によく効く。ところが効かないという患者が出てくると、急に効かなくなる」(P45)
~これはどうやら、薬への耐性ができたのではなく、「薬が効かない人もいる」という情報が作用している、つまりマイナスのプラシーボの影響ではないのだろか、ということです。


「薬の副作用についても同じことがいえます」(P46)
~なんと、「この薬はよく効く」という評判がたっているときは、副作用はほとんど問題視されない、あるいは副作用がさほど強くない、という現象が起こるそうです。
ところが、「副作用がある」という情報が伝わりだすと、副作用を訴える患者が増えだす、という摩訶不思議な現象が起こるそうです。

「副作用がなかったコカイン」(P46)
~その中毒性と激しい副作用で、禁忌薬物に指定されているコカイン。
しかし、使われはじめたころは、ほとんど副作用らしきものはみられなかった、とのことです。
どおりで、シャーロック・ホームズも平然と使用していたわけです。


サプリメントの視点から
「周りからよくない評判が聞こえてくると、「自分にも効かないかも」と思いながら服用することになる。
すると負のプラシーボ効果が働き、たとえ効果があるはずのサプリメントであっても、効果を失ってしまうことになりかねない。」(P51)

『誰も知らないサプリメントの真実』  高田明和



誰も知らないサプリメントの真実 (朝日新書)
2009年第1刷発行。
高田明和氏著。浜松医科大名誉教授。
専門は、生理学・血液学・脳科学。



サプリメントの宣伝の本かな?と思いましたが、サプリメントをきちんと検証している本です。

「サプリメントの分類
1 化学原料を合成したサプリメント

2 天然素材から化学合成したサプリメント
3 天然の成分を抽出したサプリメント」(P12)
~サプリメントといっても、限りなく天然に近いものから、ほとんど化学原料のかたまりまで、さまざまということですね。
※天然=よい、というわけではありません。ふぐやトリカブトのように、天然の毒は存在します。


「研究費はどこからでているか」(P25)
~これはなにも、サプリメントに限ったことではありません。
その裏にいる、スポンサーさんの思惑も考えないといけないのが、オトナの世界というものですね。

「つまり「なんとか太らないようにさせよう」「太ると危険である」と訴えたいという思惑が働くと、「太っても大丈夫だ」あるいは「太っているほうが少し健康だ」というデータは発表しにくくなる」(P33)


関連記事 ミドリムシの生命力(チカラ)
       ミドリムシ、いつ食べる? 今でしょう!?

2012年3月11日日曜日

『脳に悪い7つの習慣』  林成之



脳に悪い7つの習慣 (幻冬舎新書 は 5-1)
2009年第1刷発行。
医学博士、林成之氏著。
脳本ブームが懐かしい、今日この頃です。
「脳神経がもつ本能はたった3つです。「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」」(P20)
~これらの性質が脳の本質なので、それらに反する行為・習慣は脳にとって好ましくないそうです。
ですから、そのような「脳に悪い習慣」をなおして、「脳に良い習慣」を身につけましょう、ということです。

脳に悪い習慣
1 「興味がない」と物事を避けることが多い
2 「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
3 言われたことをコツコツやる
4 常に効率を考えている
5 やりたくないのに、我慢して勉強する
6 スポーツや絵などの趣味がない
7 めったに人をほめない



自分が意識しているせいかもしれませんが、最近、健康本の類でも、最後の方の項目で、「感謝する」とか「他人をほめる」とかいった「ありがとう教」につながるような項目が目立つような気がします。

他人を敬ったり、他人に感謝したりすることは、平和的で非常によろしいことです。
でも、なんでもかんでも「ありがとう」いっている人って、一種の思考停止に思えてしまって、なんか、それでいいのかな、とも思ってしまいます…

あぁ、まさに、上のの状態ですね。