2012年1月31日火曜日

『すすんでダマされる人たち』  ダミアン・トンプソン












すすんでダマされる人たち ネットに潜むカウンターナレッジの危険な罠
2008年第1刷発行。
ダミアン・トンプソン。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで社会学の博士号。
ライターであり、テレビ批評家。



もしもアメリカ人の40%が、ダーウィンの進化論を否定し、神による創造論を肯定しているとしたら、みなさまはどう思われますか?

わたしの第一感は 「そんなバカな!?」 でした。
いくら、キリスト教徒のお国柄とはいえ、そんなナンセンスなことはないだろうというのが正直な感想です。

でも、そんなナンセンスも、国や年代が違えば違ってくるのが、デマ(ここでいうカウンターナレッジ)というものです。

そしてまた、それらのデマは意図的に作られていることもあるので、本当のナレッジ(知識・智恵)を身につける必要性があるということを、本書では説いております。


「当然ながら、他人を騙していると自覚している鉄面皮な嘘つきもいる。だが、こういったタイプの嘘つきは比較的被害が少ない。それ以上に危険なのは、頭から信じ込んでいる人、あるいは、自分が多少なりとも信じている説を売り込むために知的な策を弄する人々だ。」(P23)
~われわれ代替医療の現場にも、上記のような人たちはいます。というか、そんな人たちだらけです。

「あなたが聖霊の存在を信じているとしても、それが間違いだとは誰にも証明できない。つまり、つまりデマではない。あなたが聖霊にがんを治してもらったと主張したら、それも実証できないことだ。…(中略)…しかし、あなたが聖霊から授けられた力で医療に頼らず他人のがんを治せると主張すれば、それは検証して間違いだと証明できる。だからといって、あなたを嘘つきと称するのは当たらない。危険なデマを広めただけだ。」(P36)

「隠れたつながりという信念は、啓蒙運動以前には一般的で、近代以前における方法論の根底に必ずあった。つまり、まずなにを信じたいかを決めてからその証拠を探し、当てはまらないものはかたっぱしから退ける。これと対照的に、近代以降の理論は組織的な反駁に耐えられない限りなんの価値も認められない。」(P82)
~代替医療って本当に“近代以前”が多いです。
例えばこの方の本もそうでした。→ 『腰痛は「たった1つの動き」で治る!』 吉田始史


結局のところ、代替医療に携わるひとりとして、わたしがみなさまに言いたいのは、

「代替医療は利用するものであって、利用されてはいけない」

ということです。