2011年12月20日火曜日

『腰痛は「たった1つの動き」で治る!』   吉田始史



腰痛は「たった1つの動き」で治る! 

って、ここまで断言しちゃう本もなかなか珍しいのでは。




著者は デイサービス がまの穂 を主催し、武道家でもある吉田始史氏。(デイサービスを“主催”っていうのがよくわからないのですが、細かいことは気にせず進みましょう)


ネタばれ(?)になりそうですが、著者の過去の著作物をみると


『仙骨姿勢講座』『3分仙骨リズムストレッチ』『腰まくらダイエット』などがあります。
ということは…「たった1つの動き」のその1つとは、もしや



すべての不調は「仙骨締め」で解消できる!」(P51)
~あぁやっぱりね感は否めません…でも、こっちだと「治る!」じゃなくて「解消できる!」になってますね。「!」は変わらずですけど。


「私の理論は、武道においても腰痛の予防改善にしても、「何かをして答えを導き出す」のではなく、「はじめに答え(結果)ありき」なのです。ひらめきで実行。効果があると「何故?」と、その原因を解剖学的、生理学的に研究して答えを出す。ですからあまり間違いがないのです。」(P2)
~…。
はじめに答えありきの理論を究めるというのは、失敗の連続だと思うのですが。例えばエジソンの電球発明のように。
間違いがないのは、検証不足か、そもそも持論に都合の悪い情報は取り入れていないのかと思われます。

どうなのでしょう?

はじめに答えありきのやり方って、非常にあやういと思うのですよね。
「中国で蝶が舞うとアメリカでハリケーンが起こる」という相関関係を表す慣用句があります。


「アメリカのハリケーンは、中国の蝶のせいだ」とはじめから答えありきで始めたらどうなるでしょう。
都合のよい相関関係ばかりを集め、因果関係の検証をしなくなるかもしれません。

これって近代以前の検証方法です。


「評判の高い名医でも治せなかった腰痛が、素人の自分に治せるなんて信じられない。そう思うかもしれませんが、本書で紹介する方法は、短時間でできて費用はゼロ、これは私自身が経験したことですから絶対の自信があります。」(P20)
~施術者の方にけっこう多いのですが、


「何をしても治らなかった」→「でも、この施術方法(先生)に出会って治った」→「だから、この施術方法(先生)であなたも治る」


という図式です。


「わたしも治ったのだから、あなたも治るよ」と言っているわけです…。

成功法の類は、こんなのばかりといえば、こんなのばかりですけどね。