2012年1月25日水曜日
『病気は自分で治す』 安保徹
病気は自分で治す―免疫学101の処方箋 (新潮文庫)
2006年第1刷発行。
新潟大学教授、安保徹氏による著書。
氏には他に、『免疫革命』、『医療が病いをつくる―免疫からの警鐘』など、著名な作品が多数あります。
本来ならば、『免疫革命』が有名どころなので、そちらを読むべきなのかもしれませんが、たまたま図書館で見つけたので、こちらを読んでみました。
「慢性疾患や難病と呼ばれているほとんどの疾患は、患者自身の生き方の偏りに起因しているからです」(P12)
~“生き方の偏り”とは…。
のっけから、お医者さんらしからぬ非科学的な論調に、むしろ親近感さえ覚えます。
もちろん、偏った生き方の説明もあります。
まぁ、そのような生き方で病気になる人もいるでしょう。
しかし、偏った生き方をしてない人の方が、少なくありゃしませんか??
その人たちが全員、慢性疾患や難病を患っているのならば、主張通りでしょう。
でも、現実はどうなのでしょう。
~全般的に言えることですが、この先生は患者さんに厳しい気がします。
「病気になったのはあなたのせい、病気が治らないのもあなたのせい。すべて自己責任なんですよ。」と言われている気がして、病気でもないのに、気が小さな(?)わたしなどは、読んでいるだけで、怒られている気がして、気が滅入ってしまいます。(気が付いたら“気”ばっかりの記述…)
病気になったのは、病気のせいであって、その人は運が悪かっただけだと思ってしまうのですが。どうなのでしょう?
もちろん、生活習慣や精神状態は、病気の一因になるのでしょう。
でも、生活習慣や精神状態が悪い人が、すべて病気になっているかといえば、どうなのでしょう?
極端に言えば、がんになるかといえば、そうではないはずです。
この先生の主張は
「自律神経のなかの交感神経が活性化すると、白血球のなかの顆粒球(細菌を貪食するのに優れている)が増加し、副交感神経が活性化すると、リンパ球(免疫を司る)が増加する…(中略)
自律神経の働きが、交感神経、あるいは副交感神経のどちらかに偏り過ぎると、顆粒球、リンパ球という二大白血球の過剰反応も生まれ、病気をつくり出してしまうのです。
この考えを取り入れなければ、病気の成り立ちを理解することはできません。」(P24)
~免疫機能とがんの関係性は 免疫機能が低下すると がんのリスクが高まる でも取り上げました。参考までにどうぞ。
前半は医学的な見解が多かったのですが、中盤にさしかかるころから、なんだか精神論のような本になってます。
もちろん、医学部出の大学教授が、精神論を論じてはいけないと言っているわけではありません。
ただ、なんだか代替医療の先生のお話のような気がしてしまって…。
これで本当に病気が治るのだったら、思わず
「先生に一生ついていきます!!」って叫んでしまいそうな、そんな読後感です。
参照 自律神経免疫療法
安保徹『免疫革命 実践編』/編集者が監修者を諫めている希有な本
癌性疼痛の除痛すら否定する安保徹と上野紘郁
安保徹という人のトンデモな本
安保徹医師と上野紘郁医師の対談に対する反応