2012年1月21日土曜日

『病気になりやすい「性格」』   辻一郎



2010年 第1刷発行。 
東北大学大学院教授、辻一郎氏の著書。

肥満になったり、心筋梗塞をおこしたり、ガンになったりするのは性格となにか関係があるのか?
5万人にも及ぶ追跡調査と海外の事例をもとに、性格と病気の関係について著している。


「ストレスが「からだ」に伝わると、自律神経系の働きや免疫機能に変化が生じ、そのため病気がおこりやすくなる。(中略)「こころ」にかかったストレスを「からだ」に伝えやすい人もいれば、あまり伝えない人もいる。だから、病気になりやすい性格がある。
もう一つのメカニズムとして、次のことがいわれている。性格は、その人の健康習慣(喫煙・運動・健診の受診など)や日常活動(趣味や社会活動の頻度など)を決める要因でもある。そして健康習慣や日常活動は「からだ」の健康に大きな影響をおよぼしている。だから病気になりやすい性格がある。」(P4)

~上記のメカニズムを解説し、肥満・心筋梗塞・がん・認知症との関連性を詳述しております。

~たばこは肺がんの原因とされています。
でも、同じようにたばこをすっていても肺がんになる人もいればならない人もいます。
この違いはいったいどこからくるのでしょう?
簡単に言ってしまえば「個人差」ということのようです。


「ストレスが体重に与える影響は、肥満の人とやせている人とで正反対であった。ストレスが強いと、肥っている人はもっと肥り、やせている人はもっとやせたのである。いわば、もともとの体格レベルがさらに強調された。」(P67)
~よくストレス太りとかいいますけど、やせている人はストレスでさらにやせるので、やせている人がさらにやせたらストレス過多を疑ったほうがよいということですね。


~かつてはお金持ちの病気とされた糖尿病や心筋梗塞も、現代のアメリカ社会では貧困層の病気となりつつあります。
それは貧困層が経済的な理由ゆえに満足な医療が受けられないという理由と共に、富裕層は満足な医療を受けられるうえに、自分の健康に気をつかい、ストレス解消やリラクゼーションへの自己投資に熱心である、という事由も一因となっているようです。


アメリカの10年後を行くといわれている日本も、もう同じになっているのかもしれません。少なくとも自分の健康に気にかけている(投資している)人の方が、より健康な状態を保っているように、わたしには感じられます。