2012年2月23日木曜日

交絡(こうらく)と交絡因子

「○○を食べると、××に△△です」というような記事は、しばしばみられます。

例えば、

アフリカのある部族はヘルス豆を食べているので、日本人と比べて胃がんが少くない。(→だから、日本人もヘルス豆を食べましょう)」

「野菜を好む食生活」は胃がんだけでなく、他のがんにもなりにくいことは立証されています。
※特定の野菜ではなく、野菜全般。

ですから

「アフリカのある部族→ヘルス豆を食べる→胃がんが少くない」

ではなく

「アフリカのある部族→野菜を好む食生活→胃がんが少くない」

という方が“確からしい”です。

この場合、「野菜を好む食生活」ということが、「ヘルス豆を食べる」ということと、「胃がんが少くない」ということの両方の原因になっている可能性が高いわけです。




このような状況を交絡と言って、「野菜を好む食生活」にあたるものを交絡因子といいます。

交絡が起きていると、交絡因子の結果であることが、あたかも別の結果の原因でように見えてしまうのです。

この場合、「野菜を好む食生活」の結果である「ヘルス豆を食べる」ということが、「野菜を好む食生活」の別の結果である「胃がんが少くない」ことの原因のように見えているのです。

『東大医学生が書いた 医者いらずの教科書』  東京大学予防アカデミー より