2013年9月11日水曜日

上殿皮神経障害(じょうでんひしんけいしょうがい)

上殿皮神経障害
上殿皮神経が、胸腰筋膜を通って体表近くに出てくるところで締め付けられ、圧迫されている

上殿皮神経は、おしりの皮膚感覚を支配している末梢神経。
上殿皮神経の締め付けによる絞扼(こうやく)性の上殿皮神経障害は、おしりの痛みを引き起こす。
・絞扼部を押すと、そこからおしりの外側に向けて、痛みが広がる
・座る姿勢をとると痛みが悪化
・立ち上がる、寝返りを打つなど、姿勢を変えるときに痛むことが多い
・長く歩くと腰が痛むことも

『しつこい腰の痛みを治す本』 井須豊彦 より


上殿皮神経は、背骨とお尻の上部の表面を結ぶ神経で、左右に5、6本ずつある。

青田さんによると、この神経が骨盤の「腸骨」を乗り越える際、腸骨とその表面に付着する筋肉を包む「筋膜」との間に挟まれ、神経が締め付けられる場合があり、腰痛や脚の痛み、しびれの原因になるという。

戸塚さんの場合、押すと痛む点(圧痛点)が左右両側にあり、そこに麻酔薬を入れる「神経ブロック注射」を受けた。しかし、重症のため数時間で効果が切れ、5月に手術を受けた。

手術は、上殿皮神経を圧迫している筋膜を切開するだけ。筋肉そのものは切らないため、患者の身体的なダメージは少ない。戸塚さんは痛みが軽くなり、「とても楽になって、歩きやすくなった」と喜ぶ。

青田さんがこの神経の研究を始めたのは、横浜市大病院に勤務していた2005年。フランスの整形外科医の報告を知り、08年から11年に腰や脚の痛み・しびれのために受診した患者775人を調べたところ、約12%に当たる96人が上殿皮神経の障害とみられた。

ヨミドクター 治らない腰痛…神経締め付けの可能性 より