2013年11月2日土曜日

「腰痛牽引」効果なし?

指針は日本整形外科学会と、日本腰痛学会が策定。「有効という根拠に乏しい」とされた「けん引療法」は、欧米ではあまり行われていないが、日本では診療所を中心に、一般的な治療として定着している。

指針が出た後、開業医らでつくる「日本臨床整形外科学会」副理事長の田辺秀樹医師(61)は、複数の患者から「けん引は効果がないのか」と質問を受けたという。

「不信の念を抱いている患者もいるようだが、指針は『エビデンス』(科学的根拠)に基づいている。『エビデンスが低い』とは、しっかりした文献が不足しているとの意味で、効果がないということではない」と田辺さん。

エビデンスは、無作為に選んだ多数の患者を対象に治療の効果があったかどうかを調べ、治療の有効性が確率で示された場合は「高い」とされるが、症例報告など著者の意見にとどまる論文では低くなる。けん引は、この意味で根拠が乏しいとされているが、医師の経験上、効果のある患者は多いという。

エビデンスが高いとされる治療法の一つとして「運動療法」があるが、痛みがひどくては体を動かすこともできない。痛みをコントロールする上で、まず抗炎症薬や鎮痛薬を使うが、田辺さんは「けん引も痛みを取り除く治療の一つとして有効。鎮痛薬などと似たような意味合いがあり、運動療法に至る過程の治療」とみる。

東京都臨床整形外科医会長の佐藤公一医師(59)も「腰痛の種類にもよるが、けん引によって関節と関節の間にある圧力をゆるめて炎症を抑えたり、細い血管の血流がよくなったりすることが期待される」と説明。「主に、脊柱管狭窄(きょうさく)症などの下肢症状がある患者らに勧めることが多い」

◆腰痛診療指針の主なポイント 

・腰痛の発症や慢性化には心理的、社会的ストレスが関与している
・まず抗炎症薬や鎮痛薬を使う。慢性腰痛で十分な効果が得られない場合は抗不安薬や抗うつ剤を使う
・運動療法は慢性腰痛では有効性が高い。運動の種類による効果の差は認められない
・ものの考え方や行動を変える「認知行動療法」は亜急性や慢性腰痛に有効
・がんや骨折など重篤な疾患の疑いがない限り、すべての患者に画像検査をする必要はない
・けん引療法が腰痛に対して有効であるエビデンスは不足している
・安静は必ずしも有効な治療法とはいえない

「腰痛けん引」実証研究へ 診療指針で「有効性根拠に乏しい」 より


昔から言われている整形外科への文句の1つに

「腰(首)をひっぱているけど、全然効かない…」

というものがあります。

事実、こんなに一生懸命、腰痛の「牽引治療」を行っている国はありません。
これはちょっと不思議なことなのですが…。

しかし、逆に言えば、まったく治っていないかといえば、そうではないから「牽引治療」を行っているとも言えそうです。

それでは、果たしてそれは、「牽引治療」で治っているのか? と言われれば、はたしてどうなのでしょうか?

なにせ腰痛は自然治癒するものですから(;^_^A

整形外科における「牽引治療」も、整体のように 腰痛の自然治癒に上手にのっかって 今日まで生きながらえているのかもしれません。